About

うしおは様々なメディアを用いて、「思い通りにならない状況」を可視化する作品を美術分野で制作・発表しています。

関連イベントやプロジェクト全体の説明を通して、興味や思考、作品や活動の相互関係が見えやすくなる場合もありますので、うしおのいくつかの取り組みを詳しくご紹介します。

旅や船を用いた移動 フィールドワークと作品発表 2018年-現在

うしおは古い時代の人々の旅や、とりわけ船を使った移動の歴史に関心を持ち、継続的にフィールドワークと作品発表を重ねている。

うしおは人々が様々な制約や条件下でどのように移動し、繋がり、いかに生きたのか、また、現代に何が残し伝えられているかという点に深い興味を抱き、移動についての人々の記憶や物語と結びつくような作品も発表している。

2020年1月に「境界のかたち 現代美術 in 大府」で発表した映像インスタレーション作品《詠み人知らず「なかきよの…」》は、江戸時代の船頭である小栗重吉が484日間太平洋を漂流し、亡くなった仲間の石碑を帰国後に建てた話をもとに構成した。本作品では小栗重吉の個人史のみならず、江戸時代の多数の漂流記録、世界各地に残る“異郷から福をもたらす神”信仰等に対するうしおの興味や独特な視点が盛り込まれている。

この移動や船がテーマの作品は、2018年にgallery N 神田社宅で開催したうしおの個展「なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな」で初めて展開された。
この個展では、レゴと懐中電灯を用いて、白い回転する球体上に船をプロジェクションした作品、ネット通販で購入した木製棺桶を一旦分解して簡易ボートにリメイクした作品《何かを解体してボートを作る /レッスン 1. 棺桶》、2016年9月19日開催の移民と難民に関するサミットで採択されたニューヨーク宣言の序文を使った作品《みがかねば曇るなにか》、ペンで人影を書き加えた船の絵画《遠くの人影》などが並んだ。

境界のかたち 現代美術 in 大府
2021年1月23日-2月14日

なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな
2018年6月2日-
6月23日

アーティストトーク 台風の日の歩き方 2020年

2020年はCOVID-19流行によって世界中で様々な変更や停滞を強いられる状況が続いたが、社会の中で生きるアーティストもその例外ではない。しかし様々な制限下でも、アーティストはアイデアや実践力を生かし、世界各地で表現を試み続けている。

うしおはCOVID-19流行下に限らず生かせる知恵やアイデアを見出すために、今回のパンデミックで個人が直面した問題や経験を共有するオンライントークイベントを開催した。
2020年11月は3名のゲストを招き、地方(秘境)での作品制作と展示、様々なメディアを利用した活動、本人不在の国外からの展示(インストール)の経験談が語られた。また、うしお本人は、COVID-19流行後に家族で国内を移動しながらのリサーチと制作発表を始めた経緯と状況を語った。

オンラインアーティストトーク 台風の日の歩き方

  • 2020年11月2日 ゲスト:石井友人さん、うらあやかさん、川久保ジョイさん

うしおは2019年の〈引込線/放射線〉に実行委員として参加した。「引込線」には2017年に引き続き2回目の参加となる。

旧市立所沢幼稚園会場 では小倉正史氏の写真資料や蔵書の一部を会場に置き、来場者が蔵書を手に取って読み、“公開整理”について知ることができる展示「Mobile Library/栗鼠文庫」を行った。

〈引込線/放射線〉サテライトでは名古屋市のgallery Nにおいて、石井友人さん・土屋貴哉さん・水谷一さんらと、うしおの企画による展覧会「距離と伝達」を開催した。サテライトという枠組みを使い、あえて「引込線」本拠地の埼玉県所沢市から離れた場所で、過去の「引込線」出品者らを交え展示やトークを行った。
「距離と伝達」展の終了後には、記録集を発行した。この記録集には、うしおを含む4名の各作家自らが制作した出展作品の資料も同梱されている。

〈引込線/放射線〉
2019年9月 - 2020年春頃

→うしおの企画による展示

 

→うしおが参加した企画

うしおは2019年11月に「TERATOTERA祭り2019」に参加した。「TERATOTERA祭り2019」では、同年夏にうしおが東京都現代美術館で展示した作品《不如意の儀》のコンセプトを引き継いだ《不如意のティーサロン》を企画した。

《不如意のティーサロン》はTERACCOらの協力を得て、3日間特別なミックスティーを来場者に提供した。
ティーサロンの傍らでは毎日ゲストを招いてワークショップ等のイベントを催し、お茶を飲みつつアーカイヴや小倉氏の「公開整理」について理解を深め、交流する場を設けた。

TERATOTERA祭り2019
2019年11月8日-10日

→うしお《不如意のティーサロン》内でのイベント

  • 11月8日 井戸端会議 ゲスト:teraccoメンバー
  • 11月9日-11月10日 ワークショップ ゲスト:小倉正史さん
  • 11月10日 井戸端会議 ゲスト:山岡さ希子さん
  • 11月10日 蔵書(栗鼠文庫)の譲渡会

Photo: Takafumi Sakanaka

2019年夏に東京都現代美術館で開催された「あそびのじかん」に、うしおは参加作家の一人として作品《不如意の儀》を展示した。

うしおは作品展示のほか、美術館主催の関連イベント(レクチャー及びワークショップ)を実施した。

また、作品《不如意の儀》内で、ゲストを招きコレクションとアーカイブに関するミニイベント“井戸端会議”を開催した。

あそびのじかん
2019年7月20日-10月20日

→うしおの関連イベント

  • 7月28日 ワークショップ「あそびを発明しよう!micro:bit(マイクロビット)アイデアソン」 倉本大資さん(OtOMO)と共催
  • 8月23日 井戸端会議 ゲスト:吉川陽一郎さん
  • 9月13日 井戸端会議 ゲスト:藤村克裕さん
  • 9月29日 レクチャー「遊び×美術史」 中尾拓哉さんと対談

展覧会終了後には展示記録&コンセプトポスター『うしお《不如意の儀》あそびのつづき』(デザイン:島田寛昭さん)を発行した。この中には小倉正史さん、小高日香理さん、中尾拓哉さん執筆のエッセイが掲載されている。

うしおは小倉正史さんが長年の取材・研究等で蓄積してきたフィルムや蔵書の一部を公開整理するワークショップを、2019年に実施した。

ワークショップは当初「あそびのじかん」展の展示の一部として小倉氏本人と長沼宏昌さんの協力のもと開催したが、次いでうしおが参加する<引込線/放射線>、「TERATOTERA祭り2019」でも公開整理に関する展示やイベントを継続した。

ワークショップではフィルム類のデジタル化や蔵書の目録化などの技術的なアプローチ、バラバラになって個別情報が抜け落ちてしまった資料の照合が試され、個人が蓄積した研究資料を「楽しみながら」共有(残していく)可能性を探求した。

また、このワークショップに関連したミニイベントとして井戸端会議を開催した。

公開整理
2019年-2020年

→東京都現代美術館「あそびのじかん」にて

  • 2019年7月20日-10月20日 フィルム類のデジタル化、蔵書(栗鼠文庫と命名)の目録化
  • 8月23日 井戸端会議 ゲスト:吉川陽一郎さん
  • 9月13日 井戸端会議 ゲスト:藤村克裕さん

→旧市立所沢幼稚園<引込線/放射線>にて

  • 2019年10月27日-11月4日 フィルムと書籍、説明パネルによる展示

→三鷹駅周辺「TERATOTERA祭り2019」にて

  • 2019年11月9日-11月10日 デジタル化した資料を見ながら、本人を交えてのワークショップ
  • 11月8日 井戸端会議 ゲスト:teraccoメンバー
  • 11月10日 井戸端会議 ゲスト:山岡さ希子さん
  • 11月10日 蔵書(栗鼠文庫)の譲渡会

→オンラインにて

  • 2020年11月23日 公開整理をする・番外編「Tokyo Art Speak再考」
    ゲスト:原万希子さん、大榎淳さん、小倉利丸さん

 ―当時のTAS主要メンバーと同志をゲストに、TASをめぐっての証言やディスカッションを行った。

小倉正史さんは2020年3月1日にご逝去しました。ご冥福を心よりお祈りいたします。

うしおは2014年からTwitterアカウント@usiotokojp上に千円札(新札)の写真と記番号だけをひたすらアップロードし続け、Twitterをアーカイブズとして利用している。

うしおは生活上の必要に合わせ、現金が必要になったら銀行に行き、新札の千円札を受け取ってくる。そして新札の千円札を使用する前には、写真と記番号をTwitterにアップロードして記録する手順を踏んでいる。

うしおが他人から千円札を受け取った場合には、記番号をTwitter上の記録と照合し、アーカイブされた千円札と再会する機会を待っている。

twitter
@usiotokojp

【ご注意】
日本銀行券と紛らわしい外観を有するものの製造又は販売は「通貨及証券模造取締法」により禁止されています。
うしおが撮影し、Twitter等に掲載している日本銀行券(紙幣)の画像データを印刷する行為は、同法に抵触する可能性がありますので、絶対におやめください。
※デジタルカメラ等で撮影したこれらの画像データをホームページやブログに掲載する行為自体は「通貨及証券模造取締法」の取締りの対象とはなりません。
財務省 紙幣や硬貨の写真やイラストを印刷物に使用したのですが、どうしたら良いですか